今回は、我が家設計時に少し悩んだ窓問題について紹介します。
窓をつけるかどうかお悩みの方の参考になれば幸いですm(_ _)m
「比較評価」がやたら長いので、我が家がどうしたかはかなり下にあります汗
窓ありなしの比較評価
窓ありなしを比較すると、一般的なものも含め次の通りと考えます。
窓と壁の相対比較です。
窓あり | 窓なし(壁) | |
---|---|---|
コスト | ×高い | ○安い |
断熱性 | ×低い | ○高い |
気密性 | ×低い | ○高い |
防音性 | ×低い | ○高い |
外からの目線 | ×あり (位置等による) | ○なし |
掃除 | ×必要 | ○基本、不要 |
防火性 | ×低い | ○高い |
耐衝撃性 | ×低い | ○高い |
防犯性 | ×低い | ○高い |
家具配置の自由度 | ×低い | ○高い |
プライバシー性 | ×低い | ○高い |
採光性 | ○高い | ×なし |
換気機能 | ○あり (位置等による) | ×なし |
圧迫感 | ○なし | ×あり |
うーん、、、これを見ると、窓は無いほうがいいんじゃないかと思ってしまいますね汗
コスト
当然、窓が付くほうがコスト増です。
窓自体の部品費、施工費は勿論ですが、
窓によっては、付随するカーテンやシャッター等で更にコストアップ!
コストを検討される際は、これらも勘定してください。
無視できる金額ではないと思いますm(_ _)m
断熱性
どの窓とどの壁を比べるかにもよるのですが、基本的には窓の方が断熱性能は劣ります。
下記は熱貫流率(熱の伝わりやすさ)の一例です。
窓は、複層ガラス:低放射ガラス(Low-Eガラス)6 mm(外側)+透明ガラス6 mmでも熱貫流率が2.6 W/m2 Kとなっています。
建築設備パーフェクトマニュアル2018-2019 山田博幸著
引用させていただいた「建築設備パーフェクトマニュアル」は、業者向けの本ですが、HM(ハウスメーカ)と有意義な打合せをするのに、読んでいて良かった一冊です(^^)
私が購入したのは2018-2019版ですが、おそらく毎年更新されていると思います。
話を戻します。
屋外と屋内で熱が伝わりやすいというのは、言い換えると、
夏は暑くて、冬は寒い家
ということになります。
さらに言い換えると、
冷暖房にお金がかかる家
になります。
例えば、夏場に冷房すると、
- 屋外と屋内で熱が伝わりやすい家:外から10の熱が来るから、10以上冷やさないと室温が下がらない⇒エアコンの負荷・電気代がかかる
- 屋外と屋内で熱が伝わりにくい家:外から5だけ熱が来るから、5以上冷やせばと室温が下がる⇒エアコンの負荷・電気代がマシになる
ということになります(数値はテキトーです)。
勿論、これは窓だけの問題ではなく、
- 壁の種類:壁の材質によって熱の伝わりやすさは色々
- 換気量:外の空気を積極的に取り入れるとその分、熱も直接伝わる
- 日当たり:冬、窓から熱が逃げるが、日当たりが良いと日光で逆に熱が入ってくる
- 家電等からの放熱:これは地味に暖房効果あり(これだけで部屋が暖まるわけではないです)
- 人体からの放熱:家電同様、私達人間も熱源
等々、家の熱の伝わりやすさは複雑な計算になってしまいます汗
ただ、いたずらに窓をたくさん設置すると、熱が出入りしやすい家になります。
気密性
窓の種類にもよりますが、開閉できる窓は特に気密性が下がります。
気密性が低いと、下記の問題が起こり得ます。
- 外と熱の出入りが大きくなる
⇒隙間から熱が出入りして夏は暑く、冬は寒くなりやすい - 狙い通りの換気ができない
⇒例えば、排気扇のそばに隙間があると、せっかく排気したのに、近くの隙間からその空気がまた入ってくる(においがなくならないかも) - 結露しやすくなる
⇒例えば冬、室内の湿気のある空気が、冷えた壁材の中に流れ込むと結露してカビが生えたりする
防音性
壁と比べると、窓は厚みがなく、隙間から音が漏れます(気密性に関連)。
市販のもので防音対策も可能ですが、壁と同等の防音性能を得るのは難しいと考えます。
外からの目線
特に1階に設置する窓では気になるのでは、と思います。
面している道路の人通り・隣家の窓位置はチェックしておくことをオススメします!
お互い、見えると気を遣うと思いますし、、、
我が家の場合は、下図のように図面に書き込んで視線チェックを行いました。
これを見て、窓の位置を変えたり、取り止めたりしました。
※図面は古いバージョンなので、イメージだけつかんでいただければ、と思います
どうしても窓をつけたいけど、視線を感じるのは嫌、という場所には霞ガラスを採用しました。
いわゆるすりガラスですね。
掃除
しょっちゅうではないかもしれませんが、やはり窓掃除はひつようかなと。。。
窓だけじゃなくて、網戸もありますし。
地味に、この赤枠部の掃除が面倒です。
ホコリがたまります。
防火性
ガラス自体が熱に弱いので防火性は低いと考えます。
万が一隣家に火災が発生した際、家内部に延焼するのは窓からと思います。
窓での防火性アップ方法としては、網入りガラスにするのがポピュラーです。
ガラスが火であぶられると割れてしまい、そこから延焼します。
網入りの場合はガラスが飛び散りにくく、延焼までの時間を稼ぐことができます。
注意点としては、
網入りにしたから完全な防火壁になるわけではない
ということです。
また、防火地域や準防火地域では、必然的に防火仕様の窓にする必要がありますので、土地選定の際はチェック必要です!
耐衝撃性
シンプルに、窓は割れてしまう、ということです。
台風等で重量物が飛来してきた場合、壁なら傷が付いただけでも、窓なら割れてしまう可能性がありますよね。
・・・それを気にしてたら、窓なんて1つも付けられないんですけどね汗
そういうリスクがあることを頭に置いておいて、設計することに意味があると考えます。
防犯性
壁をすり抜けて侵入するのは不可能ですが、窓なら開錠 or 割ることで侵入可能です。
採光はしたいから、背丈より高い位置に小さな窓を付ける、等はありかもしれません。
我が家でもそうしている箇所があります。
ちなみに、網入りガラスは防犯性なしと判断しています。
というのも、網入りガラスは割れにくいというか、飛び散りにくいので、小さな音で割りたいところを割るには適していると思うのです。
あくまでも、網入りガラスは防火性アップ目的のみ、の考え方です。
家具配置の自由度
窓のある位置に、背の高い収納棚等、家具は置きにくいですよね。
窓があればあるほど、家具配置が制約されます。
家具配置まで想定して、窓位置を決めるとGOODと思います。
プライバシー性
照明を点けて窓から明かりが漏れると、外から見た時に人影が映ります。
そこにいる、というのがわかってしまいます。
これは、防犯上は良いのかもしれませんが。。。
採光性
これは、窓を設置するメリットというか、
そもそも窓を設置する目的の一つが採光
ではないでしょうか。
気を付けなければいけないのが、日当たりです。
周囲の建物で日光を遮られ、窓を付けても十分光が入らないことも考えられます。
へーベルハウスでは、ARIOS(アリオス)というシミュレーションで、設計した家に日光がどれだけ入ってくるか、計算してくれます(^^)
廊下等、暗い場所が出てくるのは当然なので、「ここには照明が必要だな」という感じで、照明計画の参考になります。
シミュレーションなので、100 %鵜呑みにするのではなく、ここは確かに明るくなりそうだ、暗くなりそうだ、くらいの傾向が掴めれば十分です。
換気機能
窓を開けての自然換気です。
最近の家屋では、ファン等による機械換気で換気量が管理されており、自然換気メインである必要はないかもしれません。
とはいえ、春や秋の季節に窓を開けて心地よい風が家の中を流れるのは良いことですよね(^^)
風通しについても、へーベルハウスではシミュレーションしてくれます。
これも参考程度です。
いつもシミュレーションと同条件で風が吹くわけではないですし。。。
圧迫感
これこそ主観が大いに入りますが、、、
窓の無い空間は圧迫感がある、かもしれませんね。
開放感を出すのに、窓は有効と思います(^^)
トイレと浴室に窓は不要!
トイレと浴室に窓は不要との見解です!
本当に全くなしです。
窓ありのメリットがなくなって大丈夫?
私が窓ありで○を付けたのが下記3つでした。
窓あり | 窓なし(壁) | |
---|---|---|
採光性 | ○高い | ×なし |
換気機能 | ○あり (位置等による) | ×なし |
圧迫感 | ○なし | ×あり |
採光性
間取りにもよるのですが、日光のみでトイレと浴室で十分な明るさを確保するのは無理があると判断しました。つまり、
窓があってもなくてもどうせ照明ONするよね
ということです。
むしろ、窓から光が漏れて、今トイレにいる・お風呂に入ってることがバレバレかも。。。という心配もありました。
換気機能
トイレと浴室で換気が必要な理由はご存知の通り、
- トイレ:脱臭
- 浴室:湿気追い出し
と思いますが、
これは機械換気で強制的に排気する方が良い
と判断しました。
自然換気の場合、空気の流れは成り行きなので、
窓を開けたからといって、思った通りに排気されるとは限りません。
むしろ、換気扇を回す場合は窓を閉めていないと、排気した空気が窓から流入してしまうこともあります。
なので結局、
窓があってもなくてもどうせ換気扇ONするよね
という見解に至りました。
圧迫感
トイレも浴室も、リビングのように長時間くつろぐ場所ではないため、開放感を求める必要なしと判断しました。
多く挙がったデメリットは全て解消!
窓なしなので、下記全て○になりました(^^)
窓あり | 窓なし(壁) | |
---|---|---|
コスト | ×高い | ○安い |
断熱性 | ×低い | ○高い |
気密性 | ×低い | ○高い |
防音性 | ×低い | ○高い |
外からの目線 | ×あり (位置等による) | ○なし |
掃除 | ×必要 | ○基本、不要 |
防火性 | ×低い | ○高い |
耐衝撃性 | ×低い | ○高い |
防犯性 | ×低い | ○高い |
家具配置の自由度 | ×低い | ○高い |
プライバシー性 | ×低い | ○高い |
特にコストダウン効果は大きかったです。
当初、これらの窓だけで246,200円(税抜)かかっていました。
- トイレ窓:137,320円(=68,660円×2箇所:1階と2階、庇等も込み)
- 浴室窓:108,880円(庇等も込み)
これらが純粋に0円になりました(^^)
まとめ
トイレや浴室(以外もですが)に窓が必要かどうかは、
- 窓ありなしでコスト、断熱性等がどう変わるかを評価する
- 当該箇所(トイレ・浴室)に窓ありの○項目が必要か考える
という風に検討すればよいのかなと思います。
ご家庭によって様々なライフスタイル・見解がありますので、
決して、窓をつけるのがダメと主張しているわけではありませんm(_ _)m
参考にしていただければ幸いです。
ご覧いただき、ありがとうございましたm(_ _)m