エアコンのことを検討する前は、冷媒配管が壁面に沿って配置されるのが当たり前だと思っていました。
へーベルハウスとのお打合せで、営業担当MRさんより、
隠蔽配管という方法もありますよ
と提案いただき、検討してみました。
配管?何それ?(エアコンの仕組み)
エアコンは、室内機と室外機があり、それらが冷媒配管で繋がっています。
図解(冷房の場合)
こんな感じです↓↓緑色の線が今回のテーマの冷媒配管です。
室内は熱がたくさんあって暑い!!という設定です。
室内機~冷媒配管~室外機には、「冷媒」という熱の運び屋が居るのです。
- 電源を入れると、まず冷媒が配管を通って室内機まで行きます。
- 室内機では、冷媒が熱を奪います。これで室内が冷えます。
- 冷媒は配管を通って、奪った熱とともに室外機まで行きます。
- 室外機では、冷媒が熱を屋外に捨てます。
- 熱を捨てた冷媒はまた室内機へ・・・
の繰り返しです。
なので、室内機と室外機が必要で、かつそれらを冷媒配管で繋げる必要があるのです。
※暖房の場合は、室内機と室外機の役割が逆になり、
屋外から熱を奪って、室内にその熱を放出します。
本当は、上図のように往路と復路の冷媒配管だけでなく、室内機で発生する結露水を屋外に排出するためのドレンホースというものも付いています。
室内機は家の中、室外機は家の外に置きますよね?
じゃあ、それらを繋ぐ冷媒配管(とドレンホース)は、、、
- 外壁に沿わせる⇒露出配管
- 壁の中に埋め込む⇒隠蔽配管
どちらにしますか?
という検討項目になります。
露出配管と隠蔽配管の比較
露出配管と隠蔽配管を比較すると、下表のようになるのがPontaの見解です。
露出配管 | 隠蔽配管 | |
---|---|---|
建物外観 | ×配管が外壁に露出 壁面色と配管色を合わせないと変? | ○配管が見えないのでスッキリ |
室外機設置位置 | ×限定される | ○自由度が高い |
配管長 | ○比較的短い | ×比較的長い |
配管曲がり部 | ○少ない | ×多い |
日射による配管劣化 | ×あり | ○なし |
配管設置費用 | ○比較的安い | ×比較的高い |
エアコン買換え | ○概ね対応可能 | △不可能な場合あり |
不具合発生時 その1 | ○原因を突き止めやすい | ×原因を突き止めにくい |
不具合発生時 その2 | ○壁内部損傷なし | ×壁内部損傷の可能性 |
害虫 | ○わきにくい | ×わきやすい |
修理費用 | ○比較的安い | ×比較的高い |
加湿機能付 機種選択 | ○可能 | ×不可 |
隠蔽配管のメリットがほぼ見た目の観点だけということで、
我が家ではベーシックな露出配管を選択しました。
建物外観
我が家の外壁・露出配管です。
この配管カバーの中に冷媒配管とドレンホースがあります。
もうちょっと引きで撮ればよかったですね。。。
個人的にはあまり気になりません。
何故なら、
隠蔽配管を選択して冷媒配管が見えなくなったとしても、どうせ外壁には給湯器等の設備やそれに付随する配管、竪樋等、色んなものがくっついています。
なくすなら全部なくさないとスッキリしない
と思ったからです。
必要な設備が外壁に備わっているのは機能美かなと判断しています。
室外機設置位置
露出配管
露出配管では制限されます。
基本的に室内機のそばです。
何故なら、
配管は室内機(天井付近)から室外機(地べた)まで真っ直ぐ下に下ろすのが基本だからです。
理由:
- 室内機からスムーズに自然落下させて排水するため
- 最も配管長が短く、空調効率低減防止
- 最も配管長が短く、低コスト
- 百歩譲って水平とか斜めに露出配管施工しても、それこそ外観が変になる(と思う)
なので、設計段階から室内機・室外機の設置位置は重要検討項目です!
室内機はここに付けたいけど、屋外を見ると室外機なんて置くスペースがない!
ということになりかねません。
と言いながら、我が家の室外機のスペースはギリギリです。
建物と境界の幅:520 mmに対して、奥行320 mmの室外機。。。
いや、もうほんまにギリギリ。。。
縦長の土地だから仕方なかったのです。
写真のように室外機の吹き出し口と壁が近すぎると、
- 吹き出しにくいので風量低下
- 吹き出した空気が壁に当たって、また室外機が吸ってしまう
いずれにしても冷媒の熱を運ぶ仕事がうまくいかず、冷暖房効率低下の原因になります。
そのため、我が家では、室外機正面にルーバーを付けて、吹き出す方向をコントロールしています。
定格冷房能力:3.6 kW以下のエアコン室外機には、
定格冷房能力:4.0 kW以上のエアコン室外機には、
が良いと思います。
下図のように、横向きに付けて、写真で言うと手前方向に風が抜けるようにしています。
このルーバーを室外機に設置するには、付属のビスで室外機にネジ止めする方法もあるのですが、室外機に穴を開けたくなかった私は、強力マグネット
をルーバー側にネジ止めし、それを室外機表面にマグネット固定しました。
これならいつでも取外し可能、室外機に傷もつきません(^^)
隠蔽配管
隠蔽配管の場合でも基本は室内機の真下に室外機を設置、です。
配管が壁の内側になるため、室内機と室外機の距離が離れていても外観上の問題は起きません。
ただし、例えば我が家のように南北に長い家で、室内機を南側1階・室外機を北側に設置した場合、配管が長くなり、しかも勾配がゆるくなってしまいます。
冷房時に室内機で発生した結露水が、ドレンホースを通って室外機まで運ばれ排水されますが、上図のように配管が長く、勾配がゆるいと水がなかなか垂れていきません。
ドレンホース内で水滴が長時間たまっていると、ゴミと一緒に詰まったり、カビが生えたり、、、問題が生じる恐れがあります。
しかも、隠蔽配管の場合はホース交換が難しいですよね。
壁の中にあるので。
※ホース交換必要というのは、余程の場合と思いますが。。。
配管長・配管曲がり部
上図のように室内機・室外機の距離が離れていると、前述の通り配管長が長くなります。
これにより、冷媒が流れにくくなり、冷暖房効率が低下します。
それに加え、実際は上図のように斜めに一直線に室内機・室外機を結ぶことはないはず。
壁内部の構造物を避けるように、何度も曲げられ、くねくねした配管になります。
配管の曲がり部は、エアコンの運転振動等による力を受けやすく、直線部よりも亀裂の入るリスクが高いです。
そのため、できるだけ曲がり部が少ないことが望ましいです。
日射による配管劣化
露出配管ではあり得ると思います。
だからこそ、配管カバーで覆っておく必要があります。
こういうやつ↓↓ですね。
隠蔽配管では心配無用ですよね。
配管設置費用
我が家の場合は、家の南側1階に室内機、10 m強離れた北側屋外に室外機を設置する場合、隠蔽配管と露出配管の価格差が約20万円でした。
この時点で露出配管確定でしたね汗
エアコン買換え
冷媒配管の互換性がないと買換え不可です。
露出配管なら配管ごと交換できますが、隠蔽配管の場合はできません。
もし将来、冷媒が現在主流のR32からCO2のような自然冷媒に変わったら・・・
冷媒自体の圧力が高くなるので、今使っている冷媒配管の径・肉厚では強度不足になります。
なので、交換できる方が良いと考えます。
エアコンを買い換えて冷媒の種類が同じだとしても、
- 10年以上使い倒した冷媒配管は内部が汚れている
- 運転によって配管の曲がり部等に何度も力がかかっていて疲労している
ため、交換した方が無難です。
不具合発生時
もし、エアコンが冷暖房できなくなったり、アラームが発生したりした場合、業者を呼んで原因究明してもらうと思いますが、、、
冷媒配管にピンホール(微小な穴)が開いていて、冷媒が漏れていたとしたら、隠蔽配管の場合、
- 原因を突き止めるのが難しい(配管を見ることも交換もできない)
- 冷媒漏れの場合、冷媒以外にも冷凍機油という油も壁の内部に漏れてしまう
⇒壁内部の材料に悪影響はないか。
冷媒じゃなくて、ドレンホースからの水漏れも厄介ですよね。
壁の内部で水分が浸透していくので、材料の劣化やカビ等の原因になりそうな。。。
害虫
隠蔽配管の場合、特に上記不具合発生時には虫もわく可能性があると考えます。
修理費用
見積もってもらったことはないですが、隠蔽配管の場合、
どうしても配管を交換するとなったら、壁に穴を開けるところからなので、露出配管よりも高額になると想像します。。。
加湿機能付機種選択
我が家のリビングエアコンは、ダイキン製の加湿機能付き機種です。
外気の水分を吸収して、室内を加湿してくれます。
うーん、まあ、外気も乾燥している時は、室内の湿度が50、60 %になることはないです。
そりゃあ、そうですよね。
というわけで、冷媒配管・ドレンホース以外に、外から吸収した水分を通すラインも必要になります。
へーベルハウス経由で入手したエアコンですが、加湿機能付機種の隠蔽配管は不可とのことでした。
これらの配管をひとまとめにして、壁の内部に仕込むのは難しいそうです。
分厚くなるからかな。
これは、へーベルハウスだからではなく、おそらくどこのハウスメーカでも難色を示すと思われます。
まとめ
うーん、、、なんか「隠蔽配管はダメだ」みたいな記事になってしまいました汗
ダメとは言いませんが、品質とコストの観点から見て、
露出配管をオススメします。
また、そのために、
設計の初期段階からエアコンの配置はよく練っておいた方がよいです。
もしこれからエアコンのことを考える方がいましたら、検討してみてください。
ご覧頂き、ありがとうございましたm(_ _)m